「高円宮殿下記念地域伝統芸能賞」は、地域伝統芸能の保存と継承によせられた高円宮殿下のご遺徳を後の世に永く伝えるため、伝統芸能の保存、継承、活用の全ての面にわたって抜きんでた功績が認められる個人または団体に贈られるものです。平成15年に制定されました。




一般社団法人高千穂町観光協会
(高千穂の観光神楽を通じた保存、継承、活用)

(宮崎県高千穂町)


 高千穂町は、宮崎県の最北端、九州山地のほぼ中央部の奥深い山間地に位置し、人口約1万4千人、町の南部には名勝の高千穂峡があって観光の拠点になっている。
高千穂の夜神楽は、秋の収穫への感謝、鎮魂、来る年の五穀豊穣への祈りを込めた神事芸能で、高千穂町内の30の保存会によって保存伝承され、毎年11月から2月にかけて山間の耕地の中に点在する約20の集落の民家等で、33番の舞が夜を徹して奉納される。
 高千穂町観光協会は、アクセスが困難で一般の観光客はなかなか観ることのできない集落での夜神楽を、年間を通じて観光客に楽しんでもらうため、昭和47年から観光神楽として公開し、以来、39年間、年中無休で実施している。
 観光神楽は、高千穂町の中心部にある高千穂神社境内の神楽殿において、毎夜8時から1時間、町内14地区の関係者が交代で代表的な舞4番を公開する。この荘厳な雰囲気で迫力のある夜神楽の鑑賞を目的に全国から高千穂町に多数の観光客が訪れるようになり、この観光神楽にも年間5万人を超える人々が訪れている。このように高千穂峡をはじめとする自然景観を中心とした日中の観光だけでなく、宿泊を伴う観光神楽として発展させた。
 また、同協会は、神楽のイメージを高めるため、町内で開催される多くの催し、県内、県外はもとより海外にも各保存会を取りまとめて派遣し、観光振興に積極的に活用している。
 高千穂町観光協会は、観光神楽を通じて高千穂の夜神楽の保存継承に対する認識を高め、後継者不足の解消と活用に尽力した結果、全国に高千穂の夜神楽が知れわたるようになり、高千穂町の観光はもとより宮崎県の観光の振興、地域商工業の振興に大きく貢献している。





「地域伝統芸能大賞」は、多年にわたり地域伝統芸能の活用を通じ観光又は地域の商工業の振興に顕著な貢献をしたと認められる個人又は団体を表彰することにより、国民の地域伝統芸能の活用に対する認識を高めるとともに、個性豊かな地域社会の実現に寄与することを目的として、平成5年に創設し、実施しているものです。


地域伝統芸能の実演に係わる団体又は個人



北上鬼剣舞連合会【きたかみおにけんばいれんごうかい】
(鬼剣舞【おにけんばい】)

岩手県北上市


 岩手県では盆の供養に舞われる念仏剣舞が盛んであるが、威嚇的な鬼の仮面を付け、刀を抜いて勇壮で激しく踊る「鬼剣舞」と呼ばれる踊りが、北上市を始めとして県南を中心に分布している。
 北上鬼剣舞連合会は、北上地域の農民達が伝承する民俗芸能である鬼剣舞団体の統括団体として平成9年に設立され、演舞技術の修練や連携を図りながら派遣公演を行っているが、中でも北上市の夏の一大イベントである「北上みちのく芸能まつり」(8月の3日間の観光客は約40万人)での地域伝統芸能公演において中心的な役割を果たしている。この他、市内外のイベント等で活躍するとともに、海外での公演においても高い評価を得ている。今日、北上鬼剣舞は、北上市の観光PRに欠かすことの出来ない貴重な文化資源であり、北上鬼剣舞連合会は、鬼剣舞の保存継承を通じて集客と北上市の地域活性化に大きく貢献している。



地域伝統芸能を活用した行事の実施主体



八代妙見祭保存振興会
(八代妙見祭)

(熊本県八代市)


 八代妙見祭は、八代の城下町を治めてきた歴代城主のもとで発展した大規模な行事であり、九州南部を代表する都市祭礼の一つとして370年の伝統があると言われる。
 八代妙見祭の神幸行列は、塩屋八幡宮から八代神社(妙見宮)まで「お上り」を中心とし、獅子を先頭に神輿や笠鉾、花奴、鉄砲隊、神馬、亀蛇、飾馬などが参加し、多彩な出し物から構成される行列が神輿に奉納して賑やかに市内を練り歩く。妙見神が渡海時に乗って八代に
上陸したという故事にもとづく「ガメ」と呼ばれる亀蛇(きだ)や獅子舞、楼閣型の華麗な笠鉾(かさほこ)の巡行には地域的特色が顕著にみられる。
 八代妙見祭保存振興会は、平成6年に八代妙見祭の活性化と神幸行列の安全運行に務めるために発足して以来、八代妙見祭の歴史と文化の保存と継承に尽力し、各奉納団体と連携して出し物の保存・公開や他の行事への参加を積極的に行うことで、地域住民の祭への参加意識を促し、祭り全体の後継者育成を図っている。また、前夜祭の出し物展示などにより宿泊を伴う観光客など来場者の増加に努めた結果、平成2年までは10〜13万人であった来場者は平成22年に16万人に増加するなど、行事の観光資源としての活用に努め、中心市街地の活性化や地域経済の活性化に貢献している。



衣装、用具等の製作、人材等の確保に関わる団体又は個人




上三原田歌舞伎舞台操作伝承委員会
(舞台装置と地芝居)

(群馬県渋川市)


 赤城山を背に立つ上三原歌舞伎舞台は、文政2年(1819)に地元の大工により建てられたもので、回り舞台や二重のセリなど全国的にも例を見ない特殊な機構を持つ舞台は現存する農村舞台の中でも極めて貴重なものとして、昭和35年に国の重要有形民俗文化財に指定された。
上三原田地域の人々は、この舞台の特殊機構を操作する装置操作を担当し、その技術を長く伝承してきたが、戦後、娯楽の多様化などにより上演機会が減少し、昭和51年を最後に長らく上演中断に至り、当時の公演に携わった操作者や知識者の高齢化によりこのままでは舞台操作技術が伝承されず、舞台稼動が不可能となるおそれが生じた。
 そこで、後世に貴重な文化遺産を保存伝承するため、平成7年に上三原田舞台操作伝承委員会が設立され、保存会の活動を引き継いで、多くの人手を要する舞台操作の訓練等により後継者育成に努め、本格的な公演を実施できるようになった。同委員会へは上三原田地区の全戸が参加し、10代から80代の幅広い世代が歌舞伎上演の裏方などを担っている。平成8年からは毎年11月に歌舞伎の演目が上演され、毎年1千前後の観客があり、平成19年度の地芝居サミットでは3千人以上の観客を集めた。
 上三原田舞台操作伝承委員会は、熟練を要する高度な装置操作技術で歌舞伎舞台を操作し、農村歌舞伎の公演を地域ぐるみで支え、観光振興と地域おこしに大きな貢献をしている。




観光又は商工業の振興に特に顕著な貢献のあったもの



五所川原立佞武多運営委員会【ごしょがわらたちねぷた】
(立佞武多)

(青森県五所川原市)

 
 五所川原立佞武多の巨大ねぷたは、明治・大正期に運行された記録が残っているが、その後の電線の普及や戦後に起きた2度の大火で街が全焼したことによりその姿を消し、いつしか市民の記憶から忘れ去られていた。
 その後、平成5年にねぷたの台座の図が偶然発見されたことを契機に、平成8年には有志による復元の会が結成された。復元の会では、資金と人手の支援を受けつつ岩木川の河川敷で復元作業を始め、約80年ぶりに巨大ねぷた「武者」が完成し、その姿から立佞武多と命名された。
 運行コースの障害となる電線の地中化や道路の整備も行われ、毎年8月4日から8日までの5日間開催される祭りでは、立佞武多と呼ばれる、高さ約22m、重さ約17トンの巨大な山車が「ヤッテマレ!ヤッテマレ!」の掛け声のもと中心市街地を練り歩き、その圧倒的迫力で沿道の観客を魅了する。
 祭りは、市、商工会議所、観光協会、各運行団体等で構成される五所川原立佞武多運営委員会が運営し、平成10年に初めて開催された祭り期間中の観光客は31万人であったが、その後の関係者の努力により平成22年には147万人を数え、12年間で116万人も増加し、市民が誇れるものとなった。
 五所川原立佞武多運営委員会は、立佞武多の運行や祭りの運営に努め、またこれらの活動を通じて全国的に立佞武多の知名度を高め、地盤沈下に悩む地元商業界の起爆剤として地域振興に大きく貢献している。





「地域伝統芸能奨励賞」は、その地域に伝わる伝統芸能を受け継ぐために、日頃研鑚と地道な努力を重ねている将来有望な新人等を発掘し、激励するための表彰制度として、平成14年度に設けました。




熊田 かほり 氏
(宮城県)

鶴田流薩摩琵琶奏者


 宮城県栗原市出身で大学のサークルで琵琶演奏と出会い、鶴田流琵琶奏者の田中之雄氏に師事し、本格的に稽古を開始した。卒業後は演奏者となり、伝統的な和楽器を使った公演活動を地道に行っている。2009年9月の第46回日本琵琶楽コンクールでは、史上最年少で日本一に輝いている。
 琵琶の哀愁に満ちた音色にあわせて、物語を歌い上げる。東京に拠点を置いて、全国各地や外国で演奏活動を行い、琵琶楽の普及に尽力している。また、古典曲はもとより、親しみやすいメロデイ・ものがたりを主軸にしたオリジナル創作曲も数多く作曲し、従来の琵琶楽の枠を超えて新境地を切り開く活動も続けている




表彰の選考にあたっては、都道府県、民俗学者、観光関係団体、商工会議所、商工会等のほか、マスコミ関係者等から候補者を推薦していただき、「高円宮殿下記念地域伝統芸能賞等選考委員会」が選定しました。


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